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NECオフコンの歴史


8.第2世代オフィスプロセッサ(1987/5〜1993/6)

8.1 NECシステム3100シリーズとNECシステム3100Aシリーズ

「VSシリーズ」の後継機として登場したものが、1987年5月に発売したNECシステム3100シリーズです。このシリーズでは、ファミリ化をさらに進め、(N8系統の)「モデル10」、「モデル30」から「モデル80」までの7機種で、パソコン領域から汎用機小型領域までの幅広い領域をカバーすることができました。上位の6機種には新開発の32ビットCPU(IDP-2)が搭載され、最上位機種はマルチプロセッサ方式が採用されるなど新アーキテクチャが採用されました。OSも新アーキテクチャに対応したITOS-VXと改名されています。

このNECシステム3100シリーズでは、パソコンのPC-9800シリーズの全機種を端末として利用できるようになりました。いわばこのシリーズで、ようやくオフィスプロセッサと呼ぶにふさわしいコンピュータとなったわけです。


1988年10月発売のシステム3100AシリーズとITOS-VX R23.1では、さらに上位として最大メモリサイズが72MB、プロセッサ3枚構成の「モデル90A」が投入(1989年)されました。「モデル10A」の上位モデルとして「モデル20A」も加わり、ラップトップモデルの「10LA」など計10モデルにラインナップが広がりました。
オフィスに導入された時には性能的には満足していても、業務が拡大されたり、新システムを導入したりすると、やはり性能が不足してくることがあります。このために60Aから80Aには、CPUを1枚増やしてマルチプロセッサ構成とするオプションが用意されていました。



8.2 NECシステム3100シリーズAモデルとA-VX

1990年5月末にシステム3100シリーズAモデル(6月発売)とXモデル(11月発売)が発表されました。
従来の30Aから90AまでがAモデル(A30からA90)にあたり、10A、20Aとラップトップモデルの10LA、10LAIIのN8系後継モデルがXモデル(X10、X20、X10L)に相当します。

このシステム3100シリーズAモデルでは、さらにラインナップの拡大が行われ、小型汎用コンピュータ領域に匹敵するA100(1990年8月)A110(1990年10月)、A120(1991年2月)が加わっています。

次々とより大規模なモデルが登場した背景には、従来のオフコンユーザの業務規模が拡大し、より大きなシステムが求められたこと、従来汎用機を使用していた大企業が汎用機の代用として安価なオフコンを利用しようとしたことなどがあげられます。右肩上がりの景気の中で、最初は30、40ぐらいの普及価格帯のモデルを使用していたユーザも10年、20年と業務を続けていけば、より大きなモデルが必要になるし、汎用機ユーザも各地に支社、支店ができれば、そこに設置する安価なコンピュータが必要になるというわけです。

このAシリーズでは、バックアップ装置としてCMT装置を標準で内蔵(上位モデル)、オプションとして二重化システムなどの信頼性を向上するための機能が盛り込まれていました。また最上位モデルには、新CPU、IDP-3を搭載しさらに性能向上を図ると共に、搭載メモリサイズ増加、接続ワークステーション台数増加、ネットワーク回線数増加など数々の能力向上が図られています。
システム3100シリーズでIOPまたはAPP(プロセッサの一種)を増加させるオプションが用意されていましたが、Aモデルでは、プロセッサだけでなくシステム全体を1つ上位のモデルに変更するフィールドグレードアップ機構が用意されました。例えばA80を使用していて性能不足になった場合、A90に買い替える必要はなく、フィールドグレードアップ機構を利用して、A80をA90相当にグレードアップすることができます。つまり買い替えやリース切れを待つ必要もなく、より安価に上位モデルに切り替えることができました。

またAシリーズにおいて、OS名もA-VX10SXと変更になりました。
A-VX10SX R1.0(1990年)では、DISA準拠の新HI、性能測定ツールの提供が行われました。また、ITOS/RDBもA-VX/RDBとして機能強化が図られました。R3.0(1991年)においても、新たに登場したハードウェアに対応して、自動電源制御、サーバ拡張機構、ディスク二重化、対称型マルチプロセッサ方式、LANマネージャであるLM/A-VXなど数々の新機能が搭載されました。

N8系の後継モデルであるXモデルは、上位モデルのオフィスプロセッサのワークステーションとしての役割の他に、それ自身が独立して業務を行えるようにスタンドアロンとしての役割も持っています。Xシリーズ用の(スタンドアロン用の)OSも、ITOS-VXからA-VX10EXと変更になりました。また(従来のN8、S3100/10やS3100/10LAIIなどと同様に)Xシリーズには、PTOS/OAOS系のOSであるA-VX10MXを載せることもできます。A-VX10MX上では、主にLANWORD、LANFILEなどのLANシリーズのソフトウェアを動かすことができました。(Xシリーズには、A-VX5を搭載するモデルもあります。)



8.3 NECシステム3100Aモデル5シリーズ

1992年6月、S3100シリーズとして3度目のフルモデルチェンジが行われました。それが、システム3100Aモデル5シリーズです。ラインナップはさらに拡大され、A35からA145までの12機種が発表されました。販売価格で言えば「A35」の390万円から「A145」の1億2230万円まで、「A35」と「A145」の性能差は約44倍となります。
本モデルの特徴を挙げるならば、A65以上の中上位モデルにディスクアレイ装置が採用されたこと、上位モデルには新開発の32ビットMPUであるIDP-3Xが搭載されたことです。
また、Aモデル5シリーズと共に、OP-98シリーズが登場しました。OP-98シリーズについてはオフィスサーバの章で説明します。






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同年に発売されたIBMのAS/400を意識しているモデル。