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沖電気工業のオフコン


2.1 OKITAC SystemA10/A100シリーズ

1986年頃の沖電気はオフコンの他にミニコンも扱っていましたが、オフコン/ミニコン両方ともCPUは16ビットでした。ミニコンは1970年代末頃には既に32ビットのCPUを搭載したスーパーミニコンが誕生、オフコンも1982年から続々と32ビットオフコンが発表・発売されています。
沖電気はSystem11といった大型オフコンも扱っていましたが、あくまでも主力は1000万円以下の小型から中型のオフコンSystem9でした。一方、富士通、NEC、三菱電機といったオフコン上位メーカーは100万円台から4000万円前後まで幅広いオフコンラインナップをそろえていました。
この頃になるとクライアントサーバといったシステムも現れ始め、1台の大型オフコンと数十台、数百台といった小型オフコンがセットで売れるといった状況でした。また他社のメインフレームや大型オフコンのユーザに沖電気のオフコンやミニコンがせっかく食い込んでも、ホストと同じメーカーのオフコン/ミニコンの方が良いという理由でリプレースされてしまうこともありました。このように沖電気に大型のオフコンやミニコンが無いということが非常に不利に働いていました。売り上げ拡大のためにはこれらのラインナップがぜひとも必要でした。

そこで1985年10月に沖電気は組織を改革、超LSI研究所とコンピュータシステム開発本部を新設し、32ビット・スーパーミニコンの開発に乗り出しました。そしてこのスーパーミニコンで得たノウハウを流用して、32ビットCPUのオフコンを開発することになりました。

まず第1弾として1980年代末に3.5MIPSの性能を持つコードネームPX3のミニコン、そして1990年には7MIPSの性能を持つPX4の開発に成功しています。

こうして1989年8月に発売されたのが32ビットのプロセッサ搭載のオフコン、OKI SYSTEM A10シリーズとOKI SYSTEM A100シリーズです。
このうちA100シリーズは開発が完了したばかりの最新鋭スーパーミニコン(OKITAC8300)のハードをそのまま流用したオフコンです。
このA100は分散処理、ネットワークシステムを意識しており、メインCPUとは別に通信専用プロセッサを搭載し、最大48回線をサポートしています。接続可能なワークステーション台数も最上位モデルのモデル510は最大32台接続可能、ハードディスク容量も最大3.5ギガバイト、最大32メガバイトのメモリ搭載と大型に近いモデルまで用意することに成功しています。

一方のA10シリーズは、CPUに当時パソコンでも使われていたインテル社のi386というプロセッサを使用するなどコストパフォーマンスを重視した低価格のオフコンでした。
こちらはパソコンと同様に手軽に使えるように、沖電気のパソコン用ソフトが多数移植されました。

OSはA100シリーズはSX1、A10シリーズはVX1というオープンを意識した独自仕様のものを用意しました。これはLANを介してオフコン同士あるいは同社のパソコンif800やif386と自由にデータ交換が可能というものでした。
A100シリーズ用に経営意思決定支援システム「is-1」「DSS」、A10シリーズには統合OAソフト「BIGシリーズ」が用意されていました。
従来のSystem9シリーズとはある程度の互換性も意識して作られていましたが完全ではなく、System9で作ったソフトウェアがA10/A100シリーズでも動くように移行ツールが用意されていました。ソフトウェアを作成するための言語としてはCOBOLや簡易言語のCGRなどがよく使用されていました。

System A10の広告には当時人気のあったアイドル・浅香唯を採用し、沖電気としては宣伝にもかなり力を入れていました。



2.2 沖電気の最後のオフコン

沖電気は1989年頃から次世代の製品体系についての研究を開始、その成果として1990年に沖電気のコンピュータ事業の今後の基本戦略を示した概念「SOAR(Single Open ARchitecture)を打ち出します。
これは今後沖電気はオープンプラットフォーム、特にUNIX製品を主力に据えると宣言したもので、現在の沖電気独自仕様のものは次第にUNIXに置き換えていくというものでした。オフコンA10/A100シリーズはハード、ソフト共に沖電気独自仕様であったため、SOAR製品からはずれてしまうことになります。
この方針変更により、当初PX4の次に予定として挙がっていたコードネームRX以降のマシンも開発中止となりました。

こうしてオフコンは沖電気のコンピュータの主流からはずれることになってしまいましたが、既存オフコンユーザのことを考慮し、急激にオフコンからオープンへ移行することしませんでした。

1992年4月に新しいオフコンOKI SYSTEM A10/A100 LXシリーズを発売します。これは1990年に開発したPX4をA100シリーズの上位モデルに採用しています。
これらは単に独自仕様とUNIXの間の繋ぎのモデルという訳ではなく、数々の機能強化が行われています。
ハードウェアでは電源制御機能、ソフトウェアではリレーショナルデータベース「REAM(Office Masters-DB)」やCOBOLアプリケーション開発支援システム「ELLA」といったものが搭載されていました。

A10/A100LXシリーズがいつ頃まで販売されていたのかわかりませんが、おおよそ1994,5年頃まで沖電気の製品ラインナップの一覧に載っていたようです。

なお沖電気のオフコンは、オフコンシェアで常にほぼ15位前後をキープしていました。




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当初計画では、87年末に第1弾の32ビットマシンPX3、90年春にはその上位2機種PX4、RXとなっていた。PX3、PX4がCISC、RXがRISC。RX以降の開発は中止となった。
ワープロBIGWORD、表計算BIGPLAN、カード型DBのBIGCARD、BIGCHART、BIGSTAR
従来のSystem9シリーズをそのまま使用し続けたいユーザのために、System9シリーズとA10/A100シリーズはしばらく併売していました。