ＮＥＣオフコンの歴史
１４．Ｉｎｔｅｌ ＣＰＵのＥｘｐｒｅｓｓサーバ・その２（2003/12〜2008/11）
- 14.1 Express5800/600xiシリーズ
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WindowsServer2003が発売されると、それに対応してオフコンも一新され、2003年12月にExpress5800/600xiシリーズが発売されました。オフコンOSも新たにA-VX01と名称変更されました。
ハードウェアの強化としては、いつも通り最新のCPUを搭載したり、メモリ容量や内蔵できるハードディスクの最大容量を増やしたりといったものの他に、大容量高速バックアップ装置であるAITを標準搭載するようになりました。モデル名のxiはeXtend Internetという意味で、従来の”Ai”からさらに発展したものであるということを表していました。このため、NECはA-VXのWeb連携やMail連携をはじめとするUCPSの各機能とWindows側のソフトウェア（例えばExpress5800/600xiシリーズでEDIを実現するインターネットEDI環境セット、XMLデータを扱えるようにするXMLWARE、Netseller、NetStoreやNetAuction、NetBizbid、MobilernetServer、WEBharmo/RDBEUFなど）と組み合わせたインターネットを絡めたソリューション提案を全面に打ち出していました。
オフコン用OSに目を向けるとA-VX01 R1.0でA-VX01形式（後にA-VX形式）と呼ばれるフロッピーディスクのフォーマットが採用されました。
ただNEC独自形式ということもあり、当初はA-VX01形式はほとんど使用されませんでした。
また、古いフォーム作成ソフトであるは#FORM/FORMS2に代わるものとして、BizReportingとVISUALFORMSの組み合わせの製品が発売されています。これは従来のキャラクタベースではなく、マウスの操作でフォームを作成したり、2次元バーコードやjpg画像を印字することができる、A-VXとしては画期的な製品でした。
インターネットでのセキュリティが問題になっていた時期であることから、A-VX01 R2.0以降ではセキュリティ対策の機能が主なリリースポイントとなりました。A-VX01 R2.0でA-VXセキュリティ設定ツール／A-VX用セキュリティテンプレートの提供、R3.0でログ情報出力機能の強化、R5.0でA-VX独自のセキュリティ機能であるOCF機能の大幅な機能強化が図られました。
A-VX01 R3.0では、別売りの製品としてA-VX資産管理支援キットが発売されました。
続くR4.0では、A-VX資産管理支援キットを強化したうえで、従来からあるジョブビューワを統合、さらにセキュリティに関する機能を追加して、システム全体をGUIで管理できるA-VX統合管理ツールが発売されました。
Windows側のセキュリティ対策としては、A-VX4時代のServerProtectに代わって、SERVERW@TCH、ServerW@llという製品が本体に標準添付されていました。
この頃発売された特徴的なモデルは、2005年7月に発売されたExpress5800/620xi-sです。従来から同名のモデルがあり小型軽量のエントリモデルとして発売されていましたが、この年に発売されたものは水冷ユニット、静音タイプのハードディスクが組み込まれた「水冷モデル」であり、今までの特徴にさらに静音性を高めたものでした。
その他には、従来からのスタンドアロンモデル610Aiが廃止され、2005年11月に620xi-stとしてサーバモデルの最下位として組み込まれました。このときにはシステム提案の目安のためか、各モデル毎に上限となるシステム構成が提示されています。例えば620xi-stは同時に実行可能なタスク数の上限が5個、接続できるWS台数の上限が1台、620xiはそれぞれが32個、16台、690xiなら700個、896台といった具合です。
- 14.2 Express5800/V600xiシリーズ
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2008年12月にはExpress5800/V600xiシリーズが発売されました。オフコンOSはA-VX01がそのまま継続され、A-VX01 R6.0となっています。WindowsはWindowsServer2003が搭載されたモデルのみでしたが、すぐにWindowsServer2008を搭載したモデルも追加されました。
NECでは2008年11月11日に「REAL IT PLATFORM」という概念を基に、オフコンを含むExpress5800シリーズ全体を2つの製品ラインに統合整理し、今後は共通した製品強化コンセプトに従って開発が行われていくことが発表されました。
2つの製品ラインのうち、オフコンは「DataStationLine（データステーションライン）」と呼ばれるラインに組み込まれ、そのラインのコンセプトに従って強化されていくことになりました。新しいExpress5800/V600xiシリーズはそのコンセプトに従って開発されたモデルです。A-VX01 R6.0では、A-VXログオン機能関連ツールが追加やオープンデータベースとの連携機能が強化されています。
この頃、オフコン用のソフトウェア製品群が大量に販売終了しています。そのほとんどはその頃までにはあまり使われなくなったようなものですが、Express5800/600xiシリーズ当初に大々的に打ち出していたNetSeller/NetStore、インターネットEDI環境セットなどもわずか数年で終了になっています。
ハードウェアの方もいくつかの古い周辺装置がサーバ本体に接続できなくなっています。
一部で影響が大きかったものとしてA-VX機能拡張ラック／ユニットのサポート終了が挙げられます。A-VX機能拡張ラック／ユニットとは、サーバ本体に接続することによって、本体につなげる以上のパッケージ／ボード類が使えるようになったり、大量の周辺装置を接続したりするための拡張用の装置ですが、とても古い周辺装置を使うことができるようになることも特徴の一つでした。フロッピーディスクのフォーマット形式は、従来形式とA-VX01形式を選べるようになっていましたが、このシリーズからA-VX01形式のみとなりました。このころには世間ではフロッピーディスクは使われなくなりつつあったものの、NECのオフコン独自で他のサーバと互換性の全くない、つまりデータ交換できない形式しか使えなくなることは運用上問題があり不評でした。
Express5800/600シリーズ以降、標準搭載のバックアップ装置もDAT、AITとたびたび変わっていました。このように標準搭載しているバックアップ装置やフロッピーディスクの形式の変更により、以前から保管・管理していた媒体が新しいサーバに置き換えると読めなくなるという点も大きな問題でした。 - 14.3 Expressサーバの販売状況
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1995年頃からオープン化やバブル崩壊などの影響を受けて、NECのオフコンの年間出荷台数も減少傾向となっていました。特に1990年代末に騒がれたいわゆる2000年問題では、NECに限らず各社のオフコンはリプレースの一斉攻撃の対象となり、かなりの数のオフコンがWindowsやLINUXなどを搭載するオープン系のサーバにリプレースされてしまったようです。2000年を過ぎて2000年問題騒ぎが収まるとNECのオフコンの販売も一時復活（ 日経Biztechの記事）したこともあったようですが、徐々に減少は進んでいたようです。
オフコン出荷台数では、一時復活した辺りの2001年度統計でNECが首位、日本IBMが２位となっています。その後のオフコンシェアは不明ですが、2000年代後半頃には日本IBM、富士通、三菱電機のオフコンには完全に抜かれているようです。
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