3. オフィスプロセッサ(1984/5〜1992/10)後半
- 3.1 FACOM 新Kシリーズ
新Kシリーズ(K-600/K-150/K-100シリーズ)が1988年10月発表されました。
K-10Rの後継機は、廉価なK-100と高級モデルのK-150の2モデル5タイプ、K-200シリーズの後継機が、K-610からK-670までの4モデル9タイプとなっています。
特徴としては、上位モデルに2つのCPUによる対称型負荷分散マルチプロセッサを採用、高速大容量ディスク、大容量メモリ、高速ディスクバッファ、より高速高性能な新プロセッサがあげられます。また、OSも「CSP/F3」と「CSP/F5」と2系列あったものを「CSP/FX」に統一しています。FACOM Mシリーズホストおよびワークステーション(K-150)とのLINKSERV、FSERVなどによる垂直連携強化、FACOM Kシリーズ同士のKLINKによる水平連携強化、RDMの後継のリレーショナルデータベースFX-RDB、また380種にものぼる業務パッケージと500種類以上のユーザシステム事例を「アプリケーションファミリ」として提供しました。
下位モデルには、従来のK-10系列の上位に32ビットCPUを採用したK-150が用意されました。CPUはMC68020を使用しており、OSはUNIX SystemVをベースに開発したSX/Gで最大16個のウインドウを表示するマルチウインドウ機能、マルチプロセス機能を持っています。開発言語はCOBOLの他にFORTRAN77、LISP、PROLOGなどを備え、CASET、CADパッケージ、リレーショナルデータベースSX-RDB、EPOCファミリが使用でき、さらにKシリーズとMシリーズのワークステーションとして使用できる多用途多機能を特徴とします。
ちなみに1988年10月からタレントの山田邦子氏が新Kシリーズのイメージキャラクタとして登場しました。1992年頃まで富士通のオフコンのCM、広告で活躍することになります。
これらKシリーズは、1989年に各国語対応され、中国、韓国、台湾、フィリピンなどアジアを中心に海外でも販売されました。
1989年5月にはさらに上位のK-670/40とラップトップモデルのK-150LTが発表、1990年5月には最上位モデルとなるK-690が発売されました。
1989年2月には、Kシリーズの販売台数累計20万台突破しています。
- 3.2 SiモデルとSIS
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1980年末から90年にかけて、オフコンの世界にSIS(戦略情報システム)という概念が入ってきました。このSISのために、経営活動支援ソフトMANASUS(1990年5月)、戦略経営システムSuperCAPSEL(1990年10月)、SuperCAPSEL JOYFUL、開発支援ツールCASET 、統合オフィスシステムIFOS(1990年4月)など数々のソフトウェアを送り出します。
そしてこれらソフトの強化とともに、1990年12月には、”戦略経営のパートナー”となるべく新オフコン、K600シリーズSiモデルを発表します。下はパソコンクラスのK-100Siから上は汎用コンピュータクラスのK-690Siまで8機種20モデルへとラインナップを拡大します。
Siモデルでは、CPU性能向上などの緒元拡大の他に、通信回線を使用した遠隔保守サービス、K-670Si以上にミラードディスク機能、システム稼動中にディスク交換可能なディスク活性保守機能、K-650Si以上にUPSなどの信頼性向上、リレーショナルデータベースFX-RDBの高速化、通信回線能力の向上などが図られました。
大企業のSISを実現するには巨大なシステムが必要で、次々に大規模なモデルが発表されました。1991年6月には最上位モデルのK-690Siモデル30、1年後の1992年6月にはさらに上位のK-690Siモデル40と発表していきます。一方、ノート型オフコンの需要も発生し、K-150SiNBが1992年6月に発表されています。
Siモデル発売の翌年に、1990年代の富士通の新しいシステムスタイルとして、「MESSAGE90s」が発表されました。この「MESSAGE90s」に基づき、「Kシリーズ 90s」として、オフィスプロセッサの新しいコンピューティング環境が提案されました。このコンセプトに基づいて、K-150クライアントサーバシステム、データJOIN、アイコンデスクトップ、K-Windows、Super RDB(1991年10月)など数多くのソフト製品が発表され、「Kシリーズ 90s」として既存製品も強化されました。
このようにオフコンはSISやMESSAGE90sなど新しい言葉も飛び出し、新機能を搭載してシステムも巨大化し続けるなど、一見何も問題はないように見えます。しかし1990年代に入ると、オフコンにもオープン化/ダウンサイジングの影響が出始めます。特に1991年頃からオフコンの出荷台数が前年割れとなり、富士通のオフコンの出荷台数も減少し始めます。
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内田洋行・PFU側の名称はUSAC2001マネージャーシリーズ。
下位モデルのK-100はCSP/F1のまま、K-150はUNIX系のSX/Gです。
一時的とは言え、減らしたつもりが4系列になってしまいました。ただし、COBOL Gや簡易言語を使用すればソース互換、開発環境は同一、データベースも同じ、EPOCファミリも使用可能という状況であり、この頃になるとVシリーズ当時とは違って、ほとんど問題はありませんでしたが。
実はパソコンFMG(FACOM G)シリーズと同一で、K-150/10、K-150/20、K-150/30はそれぞれFACOM G-150/10、FACOM G-150/20、FACOM G-150/30に相当します。つまり16ビットCPU「MN1617」を使用したパソコン9450シリーズやインテルの「8086」系CPUを使用したオフコンK-10、K-10R、K-100とは互換性がありません。
SX/Gも、元はUNIXとは言え、かなり手を加えてあります。
1989年5月のその他の主要な強化項目として、K-150でMS-DOS実行環境をサポートし、パソコンのFM Rのソフトが使用できるようになったことが挙げられます。例えばFM-OASYSや1-2-3のようなソフトがK-150で使用できるようになりました。
また大規模なシステムであったため、出荷は発表より半年遅れの90年12月となりました。
汎用コンピュータMシリーズのIFOSをKシリーズに移植したものです。
統合文書処理システム、スケジュール管理システム、電子伝票制御システム、電子電話帳システム、電子メール/電子会議システムなどから成る統合OAシステム。FM R、K-150、Gシリーズなどをクライアント、K-650以上をサーバにして動作します。
1991年7月には機能強化したIFOSIIが発表されています。
内田洋行、PFU側の名称は、USAC8800シリーズ、USAC GX-Aシリーズ。
「90年代の情報システム構築のための新しいコンセプトと製品群」を意味する名称。オフコンKシリーズだけでなく、汎用コンピュータMシリーズ、ワークステーションFMG、FMRなど富士通製品全て(と他社製まで)を含む新しいシステムスタイルの提案。体系化されたソフト/ハード各種製品から利用形態に最も適したものを選択し、組み合わせることにより業務システムを作っていこうというもの。
らしいです。