サーバ機構（ＳＥＰ）
- １ サーバ機構／サーバ拡張機構（ＳＥＰ）とは
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Ａ−ＶＸ０２になってから標準の説明書からはずされましたが、それ以前は、「サーバ機構」に関する説明書がたくさんありました。そこで簡単にサーバ機構に関して書いておこうと思います。
時代によってさまざまな理由・機能差異で、サーバ拡張機構（ＳＥＰ：Server Extended Processor）、サーバ機構（ＳＥＰ：SErver Processor）、サーバ拡張機構（ＳＥＰ：SErver Processor）と名前が微妙に違っていますが、だいたい同じものです。
とりあえず、ここでは名称をサーバ機構で統一します。またＳＥＰは広い意味のＳＥＰとのちに述べる狭い意味のＳＥＰがあって紛らわしいので、ＳＥＰは狭い意味の方で使うことにします。サーバ機構はハードウェアとそこで使用するソフトウェアの組み合わせです。こちらが広い意味の方のＳＥＰです。
サーバ機構は大きく以下の２つの機能を持っています。この２つの機能を応用して、数々のことができるようになっています。
- ワークステーション（端末）制御機能
- コミュニケーションサーバ機能
ワークステーション制御機能の「ワークステーション（端末）」は、今主流（というか今はそれしかないと思います）のパソコンのＰＣ／ＷＳエミュレータではなく、オフコンの専用端末の制御機能のことです。
コミュニケーションサーバ機能は、サーバ間やクライアント間との通信機能のことです。他のプロトコルもありますが、主な目玉はＴＣＰ／ＩＰを使った通信で、パソコンとの通信、ＰＣ／ＷＳエミュレータなどもここに入ります。
サーバ機構自体はどうもメインフレームのＡＣＯＳの端末制御装置の技術を流用しているようで、メインフレーム系との接続機能も充実しています。 - ２ ＳＥＰに関する昔話
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またもや昔話です。サーバ機構について説明しようとすると歴史的背景も説明しておく必要がありそうです。いらないという人は次へ進んでいください。
周辺装置の管理にはＣＰＵを使用します。
端末が接続したり切断したりするとオフコン側もそれに対応した何らかの処理をしなければなりません。端末がつながっているかどうか一定間隔で確認したり、エラー処理をしたり、端末とオフコン間で入力情報や出力情報のやり取りをします。これらの処理を行うためにオフコンのＣＰＵ時間が使われます。
同様に通信回線なら送受信の管理をしなければならないし、ハードディスクやテープ装置、フロッピーディスク装置などのＩ／Ｏ処理、などにもＣＰＵが使われます。
それらの台数が少なければそれほど影響はないのですが、数が多くなるとそれら周辺装置の管理にＣＰＵ時間がとられ、本来やりたいはずの業務アプリケーションのＣＰＵ時間の比率が下がります。
そこでＮＥＣのオフコンは、周辺装置のＩ／Ｏ処理を専門とするＩＯＰ（I/O Processor：入出力処理機構）を用意し、ＣＰＵの負荷を軽減しました。
しかし、さらに端末の台数も増え、通信回線も多回線化が進みます。１９８０年代末から１９９０年頃になると端末も高機能化が進み、新しい通信プロトコルも登場、パソコンとのデータ送受も必要になってきました。ＩＯＰでは機能が足りません。
そこで登場したのがサーバ機構（ＳＥＰ）です。オフコン本体から端末の制御や通信回線管理を切り離すことにより、オフコン側の負荷を減らし、新しい端末管理機能や通信プロトコルに対応しやすくなっています。
最初に発表されたＳＥＰは、Ｂ４６８０やＢ４６８０�競棔璽鼻複圍達弌殖稗个離廛蹈肇灰襪砲眤弍�した回線装置です。）とＳＥＰが別になっており、ＴＣＰ／ＩＰを使うにはオフコンにＳＥＰとＢ４６８０のボードを両方を付けなければなりませんでした。その後、パソコン等との連携処理が主になったことから、ＳＥＰに最初からＢ４６８０の機能を載せたものが登場、これがＢ−ＳＥＰと言われています。
ここまでが、「システム３１００」とか「システム７２００」といったオフコン専用ハードウェアの時代の話です。その後、ＷｉｎｄｏｗｓのＰＣサーバ上の仮想環境上でＡ−ＶＸを動かす「Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００」シリーズの時代の話になります。
Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００はＰＣサーバなので、従来のオフコン専用ハードウェア用に作られたボードは使用できません。当時のＥｘｐｒｅｓｓ５８００シリーズはＰＣＩバスでした。システム７２００などのオフコン専用ハードウェアはＮＥＣオリジナルのバスになっています。
従来のＳＥＰやＢ−ＳＥＰのＰＣＩバス版が、サーバ拡張アダプタ（ＳＩＦ）：Ｓ−ＳＥＰＬとサーバ拡張アダプタ（Ｂ４６８０）：Ｂ−ＳＥＰＬです。
Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズでサーバ機構を利用するには、Ｓ−ＳＥＰＬ、Ｂ−ＳＥＰＬを使うか、Ａ−ＶＸ機能拡張ラックにＢ−ＳＥＰを接続して使います。
その後、ＰＣＩｅバスが主流となったり（ＰＣＩｅバスにはＰＣＩバス版のＳＥＰＬは繋げない）、Ｗｉｎｄｏｗｓ２００８ではＳＥＰＬ用のドライバか何かが使えないのか、理由は不明ですが、とうとう２００９年発売のＥｘｐｒｅｓｓ５８００／６００−ＬＨシリーズではＳＥＰＬ、Ｂ−ＳＥＰなどが未対応になりました。
このためか、Ａ−ＶＸ０２の標準の説明書集からは、サーバ機構関連のマニュアルもバッサリ削除されています。
- ３ ＳＥＰとＢ−ＳＥＰ
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ハードウェアのＳＥＰ（狭義のＳＥＰ）は端末を制御する機能と通信回線を制御する機能があります。
端末を制御する機能用として、端末をつなげるためのＳＩＦ回線はＳＥＰに付いています。
もう一つの通信回線を制御する方については、ＳＥＰ自体は単に制御するためのハードウェアなので、通信を行うためには、その通信に対応した回線を接続する装置もオフコン本体に付ける必要があります。例えばベーシック系手順を使うなら通信制御装置（ＭＣＰ）とかハイレベル系なら通信制御装置（ＤＣＭＡ４）とかです。ＴＣＰ／ＩＰを使った通信を行うならＢ４６８０制御機構などが必要になります。ＳＥＰで通信制御を行うためには、ＳＥＰと何らかの通信制御装置の２枚をオフコン本体に挿さないといけないということです。
ＳＥＰの通信回線制御の主な目的は、ＴＣＰ／ＩＰを使うことです。これでパソコンとの連携を行います。オフコンとパソコンのデータ交換であるとか、ＰＣ／ＷＳエミュレータを使ったパソコンの端末化です。
このため、「ＳＥＰ」と「Ｂ４６８０インターフェース」を１ボード化した「Ｂ４６８０サーバ機構」（Ｂ−ＳＥＰ）が用意されました。Ｂ−ＳＥＰではＳＩＦ回線とＢ４６８０回線の両方が接続できるようになっています。
- ４ Ｓ−ＳＥＰＬとＢ−ＳＥＰＬ
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上に「昔話」のところで書いたように、ＳＥＰとＢ−ＳＥＰは「システム３１００」や「システム７２００」といった古いオフコン専用ハードウェアのときの話です。
ＮＥＣのオフコンがＰＣサーバ上で動くようになったときに、ＰＣＩバス版が作られました。
ＳＥＰのうちＳＩＦ回線に対応するのが「サーバ拡張アダプタ（ＳＩＦ）」（Ｓ−ＳＥＰＬ）、Ｂ４６８０回線に対応するのが「サーバ拡張アダプタ（Ｂ４６８０）」（Ｂ−ＳＥＰＬ）です。
ただし、古くなって使われなくなったような機能は思い切って削除されています。
- ５ Ａ−ＶＸ機能拡張ラックとＢ−ＳＥＰ
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Ａ−ＶＸ機能拡張ラックについて説明しなければなりません。システム７２００のようなオフコン専用ハードウェアからＥｘｐｒｅｓｓ５８００のＰＣサーバになったときに、オフコン専用ハードウェアとＥｘｐｒｅｓｓ５８００のバスが違うため、オフコン専用ハードウェアに挿していたオフコン専用のボードが一切使えなくなります。（Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００はＰＣサーバなので、当時主流のバスはＰＣＩバス、一方システム７２００はＮＥＣ独自のバスです。）
これだと「従来資産の継承」というＮＥＣオフコンの最大の利点が失われてしまって問題になります。
そこで登場したのが「Ａ−ＶＸ機能拡張ラック」という装置です。このラックにシステム３１００やシステム７２００で使用していたボードを挿すと、かなりの種類のボードがＥｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズで使用できるようになっていました。（全部ではないです。）
ちなみにＡ−ＶＸ機能拡張ラックは、Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００のＰＣＩバスに挿して使うようになっています。
Ｂ−ＳＥＰもこのＡ−ＶＸ機能拡張ラックに接続すると、Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズで使用できるようになりました。
ただし矛盾するようですが、システム７２００で使用していたＢ−ＳＥＰそのままでは使用できず、Ａ−ＶＸ機能拡張ラック用Ｂ−ＳＥＰが使用できたようです。
Ｂ−ＳＥＰＬの機能はＢ−ＳＥＰで網羅されています。このためＢ−ＳＥＰＬではなく、Ａ−ＶＸ機能拡張ラック＋Ｂ−ＳＥＰを使う案もあります。Ｂ−ＳＥＰＬで削除された機能を使用する場合は、Ａ−ＶＸ機能拡張ラック＋Ｂ−ＳＥＰを使うことになります。
ＳＥＰは、Ｓ−ＳＥＰＬを使ってもいいし、Ｂ−ＳＥＰＬやＢ−ＳＥＰで機能が網羅されているので、いらないです。
- ５ サーバ機構ＷＳ支援ソフトウェアとサーバ機構通信支援ソフトウェア
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サーバ機構を使用するにはハードウェアだけでなく、ソフトウェアのインストールが必要です。
端末制御機能を使用するには、「サーバ機構ＷＳ支援ソフトウェア」が必要です。通信制御機能を使用するには、「サーバ機構通信支援ソフトウェア」が必要です。
- ６ 端末制御機能
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ここで説明する「端末」というのは、パソコンにインストールして使うＰＣ／ＷＳエミュレータのことではありません。
システム７１００、システム３１００／Ｘモデル、ＯＰ−９８といった昔のオフコン専用の端末のことです。
オフコン専用の端末と書きましたが、正確にはこれらは単なる端末ではありません。高性能化した端末です。これらの端末は、大型オフコンの端末としても使えるし、モードを切り替えれば単体で小型のオフコンとしても使えて、またモードを変更すればワープロや表計算などのＯＡソフトウェアが使えて、という１台３役（ＯＰ−９８はパソコンＰＣ−Ｈ９８としても使用可能なので４役とか５役）というキャッチフレーズの多機能オフコンでした。今のパソコンみたいなものです。パソコンはＰＣ／ＷＳエミュレータでオフコンに接続できるし、単体でいろいろな業務アプリケーションも実行できるし、ワープロや表計算なども使えます。
これらはハードディスク内に複数のＯＳとアプリケーションをインストールしていて、モードを切り替えるたびにＯＳをリブートして使う仕組みでした。リブートしなければならないので、モード切替に時間がかかる欠点がありました。
サーバ機構の端末制御機能は、端末が起動すると自動的に（大型の）オフコン側から端末へＯＳやアプリケーションをＤＬＬ（ダウンラインロード、今でいうダウンロード）する仕組みを用意しています。
クライアント側にＯＳやアプリケーションをインストールしないというこの仕組み、今でいうシンクライアントのようなものです。
これを利用すると端末側にハードディスクが無くても（当時はファイルレスと言っていました）いいのです。ＬＡＮシリーズ（ワープロとか表計算ソフトとか入っている昔のＮＥＣ製のオフィスソフト群）のデータを（端末側にハードディスクがあればそちらに入れることも可能ですが、）ＤＬＬしてきたオフコン側のハードディスクに格納することもできました。さらにＯＳやアプリケーションをＤＬＬした場合は、端末のモードとワープロや表計算ソフトなどを使うモードの切り替えは画面切り替えキー一発で切り替えることができ、リブートは不要となっています。
他にもサーバ機構を利用すると、漢字変換が高性能化（連文節変換／自動変換）したり、漢字変換辞書、外字ファイルがオフコン側で一括管理できるとか、画面が２６行画面になるとか、いろいろなことができました。
なお端末プリンタも端末の一種なので、端末プリンタもサーバ機構につながります。
パソコンでより高度なことができるようになった為、これらオフコン専用の端末の役目は終わり、２０００年以前にすべて販売終了になりました。ただ販売終了になっても壊れるまでは使えるので、Ｓ−ＳＥＰＬ、Ｂ−ＳＥＰＬやＢ−ＳＥＰに接続することでＥｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズで使用できるようにはなっていました。
- ７ 通信制御機能
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メッセージ管理５（ＭＭ５）の機能を使った通信ができます。ベーシック手順、ハイレベル手順など多彩な通信方式・通信手順に対応していますが、当時の一番の目玉は通信プロトコルでＴＣＰ／ＩＰが利用できる点だと思います。
- 7.1 垂直分散機能
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サーバ機構の通信制御機能を使って、オフコンをメインフレームの端末制御装置として使用します。
オフコンの専用端末に、ＥＴＯＳ５２ＧＸや３２７０Ｋ、６６８０、５６０Ｓといったエミュレータを入れることで、メインフレームの端末として使用することができました。
Ｓ−ＳＥＰＬ、Ｂ−ＳＥＰＬでは未サポートになっていることから、あまり使用されなかったのかもしれません。
- 7.2 通信機能（メッセージ管理５）
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メッセージ管理５の機能を使った通信機能です。
上で書いたように非常に多彩な通信方式・通信手順に対応しています。
Ｓ−ＳＥＰＬ、Ｂ−ＳＥＰＬでは未サポートになっています。
メッセージ管理５の機能は、Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズでは、メッセージ管理３やメッセージ管理Ｓといったオフコン本体側の機能に統合されました。
- 7.3 ＰＣコミュニケーションサポート機能
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オフコンとパソコンでローカルエリアネットワーク（ＬＡＮ）を構築する機能です。サーバ機構の下にパソコンをぶら下げることによって、オフコンの端末にします。
パソコンにＰＣ／ＷＳエミュレータを入れて、パソコンからオフコンを操作できるようにする、ということがサーバ機構によって実現できます。
Ｅｘｐｒｅｓｓ５８００／６００シリーズでは、Ｓ−ＳＥＰＬを使うことで実現できます。
ただし、サーバ機構を使わなくても、普通のＬＡＮケーブルにつながったパソコンでもＰＣ／ＷＳエミュレータをインストールすれば、同じことができます。パソコンをＬＡＮケーブルにつなげてもいいし、わざわざサーバ機構経由でつなげてもいいし、いろいろな接続方法がありますよ、と選択の幅を広げているということでしょうか。
