レコードキーとキーファイル
- １ ＲＤＢファイルの物理的な構成
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基本表の実体のファイルのことをＲＤＢファイルといいます。そしてＲＤＢファイルは実際は複数索引順編成ファイルです。
複数索引順編成ファイルは、データファイルと最大８個のキーファイルで構成されます。複数索引順編成ファイルをＲＤＢファイルとして使用すると、いろいろな機能が追加されます。
ＲＤＢファイルとして使用した場合は、キーファイルに「実行時生成」「合成キー」という機能が加わります。そして「一時キー」というキーが用意されています。一時キー自体は無限に理論的には作成することができます。（実際はＡ−ＶＸ ＣＯＢＯＬの仕様上の上限や物理的な上限があります。）
複数索引順編成ファイルは基本的にキーファイル経由のアクセスしかできませんでしたが、ＲＤＢファイルとして使用する場合は直接データファイルをアクセスすることもできます。直接データファイルをアクセスする場合は、ＲＤＢファイルを順編成ファイル／相対編成ファイル的に使用することになります。
- ２ レコードキー
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Ａ−ＶＸ／ＲＤＢのレコードキーは、ファイルのキーとしての役割とインデックスとしての役割が混ざったようなものです。
Ａ−ＶＸ／ＲＤＢに入れたデータは複数索引順編成ファイルに入っています。複数索引順編成ファイルは、最大８個のキーを使えるので、基本表も最大８個のキーを使用できます。このキーはレコードキーと言います。
レコードキーは主キーというよりも候補キー的なもので、プログラム中でキーを選んでそのキーを主キーのようにして使います。
Ａ−ＶＸ／ＲＤＢでは、レコードキーを作ると必ずインデックスができます。（Ａ−ＶＸ／ＲＤＢの場合、キーファイルと呼ばれる）
レコードキーはキーというよりもインデックスとしての性格の方が強いので、データベースを設計する時にはキーではなくインデックスだと考えた方がいいかもしれません。
例えば、上のようなＲＤＢファイルがあるとします。（説明用にＲＤＢファイルの構造を簡略化しています。）
キーファイル１を経由して”090”のレコードの内容を得たいとします。キーファイル１には「”090”は４番目のレコード」という対応表が入っているので、データファイルの４番目のレコードを読み込みます。
- ３ レコードキーの属性
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レコードキーには次のような属性を持つことができます。
名 称 概 要 二重キー 二重キーありの場合はレコードキーに同じ値を持つことを許す。同一レコードキーともいう
ただし主レコードキーは二重キーありにはできない二重キー自体は索引順編成ファイルや複数索引順編成ファイルにも存在するものです。
既に登録済みのレコードと同一のキー値を持つレコードをさらに追加できるかどうかを指定できます。同一のキー値を許す場合「二重キーあり」でファイルを作ります。同一のキー値を許さない場合は「二重キーなし」でファイルを作ります。 ファイルを作った後に「あり」を「なし」にしたり、逆に「なし」から「あり」に変更することはできません。 - ４ キーファイル
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レコードキーを作ると必ずキーファイルが１つできます。キーファイルは、ＯｒａｃｌｅやＳＱＬ Ｓｅｒｖｅｒ、ＭｙＳＱＬなど通常一般的なＲＤＢ（以下オープン系ＲＤＢと書きますね）でいうところのインデックスです。
さて、オープン系ＲＤＢの入門書の説明によく書いてあることとして、
「インデックスを作ると検索は速くなるが、インデックスをたくさん作るとレコードの挿入、削除、更新などの（インデックスの更新が走るので）パフォーマンスが悪くなる」
というのがあります。
Ａ−ＶＸのキーファイルはインデックスと同等なので、レコードキーをたくさん作るとキーファイルも同じだけでき、オープン系ＲＤＢと全く同じ理由でパフォーマンスが悪く（簡単に言うと遅く）なります。
Ａ−ＶＸは仕組み的に複数のキーを作ることが多いので、単に「遅くなります」で終わってはよろしくありません。このためＡ−ＶＸ／ＲＤＢではチューニングする方法がいくつか用意されています。
その１つがキーファイルの更新モードです。
- ５ キーファイルの更新モード
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ＲＤＢファイルは複数索引順編成ファイルに機能を強化した形になっているので、キーファイルの更新のタイミングも変更されています。
今一度、複数索引順編成ファイルのキーファイルについて復習してみます。
複数索引順編成ファイルのキーファイルは、アクセスしたときに使用したキーファイルだけ更新されて、他のキーファイルは更新されませんでした。他のキーファイルを更新する為にはファイルの再編成という作業が必要でした。いちいちファイルの再編成を行うのが嫌なら、キーファイルに同時更新の属性を付けるという方法がありました。同時更新の属性を付けると使用したキーファイル以外のキーファイルも同時に更新できるようになります。ＲＤＢファイルのキーファイルの更新モードは次の２種類があります。それぞれのキーファイルに同時更新モードあるいは実行時生成モードの属性を付けます。
更新モード 概 要 同時更新モード
（SIMUL-UPD）同時更新モードのキーファイルは常に更新されます。例えばデータファイルを直接アクセスした場合でも、同時更新モードのキーファイルは同時更新されます 実行時生成モード
（ON-DEMAND）処理を行う上でキー生成が必要なときは自動的にキー生成が行われ、必要がなければキー生成は行われません。データファイルを直接アクセスした場合や他のキーファイル経由でアクセスした場合はキー生成は行われません。実行時生成モードのキーファイル経由でアクセスしたときに、最初の入出力命令を実行した時点でキー生成が行われていなければキー生成が行われます。キー生成後は、そのプログラムが終了するまで同時更新となります。 社員番号や社員名や所属部門などの社員の情報が入ったデータベースがあるとします。社員番号と所属部門、職種の３つの列にキーが定義されているとします。
新入社員が入ってきたので、その人の情報を社員データベースに入れましょう。まず新入社員のデータがデータファイルに入ります。レコードが挿入されるとキーファイル（つまりインデックス）の更新も必要になります。
データを入力すると同時にキーファイルの更新が入るのが「同時更新モード」です。
社員番号のキーファイルと所属部門のキーファイルと職種のキーファイルの３つのファイルが「同時更新モード」なら、これら３つのファイルも同時に更新します。データファイルとキーファイルの合計４ファイルのデータが更新されることになるので、「同時更新モード」だと遅いよなぁということはわかると思います。
キーファイルが１つも無ければデータファイル１つの更新で済むのに、毎回４ファイルを更新しなければなりません。レコード挿入が１回ぐらいならそれほど差は無いかもしれませんが、これが百レコード、千レコードになるとかなりな性能差になりそうな気がしますよね。
一方、必要な時にキーファイルの更新が入るのが「実行時生成モード」です。
キーファイル３つ全てが「実行時生成モード」とします。新入社員のデータが直接データファイルに入ったときは、キーファイルを使用しないので、キーファイルの更新は入りません。
その後、キーファイルを使用するときにそのキーファイルだけが更新されます。一旦更新されるとそのキーファイルは以降「同時更新モード」と同じ動きになります。
例えば新入社員のデータを入力した後に、社員番号で検索するときは、社員番号のキーファイルだけ更新してから、検索処理が行われます。
データファイルが更新されたときは最低限のファイルしか更新（例の場合はデータファイルだけ）しないので、「同時更新モード」より速そうだということはわかると思います。
一方、キーファイルを使用するときに、キーファイルの更新が入ることがあるので、ちょっとだけ遅くなりそうかなぁということが分かると思います。１万件データを挿入した後に「実行時生成モード」のキーを使って処理すると１万件分のデータのキーの情報をインデックスに反映させてから検索するということになります。
ただし一回更新されると以降は「同時更新モード」と同じ動きになるので、検索のときに遅くなるということはありません。
社員番号のキーファイルは「同時更新モード」、他の２つは「実行時生成モード」みたいにキー毎に変えることができます。
頻繁に使用するキーは「同時更新モード」、「毎日１回夕方の集計処理にしか使いません」のように時々にしか使わないキーは「実行時生成モード」にするみたいです。 - ６ キーファイルの強制的更新
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「実行時生成モード」のキーファイルを強制的に更新させることができます。
実際、実行時だけしか更新できなかったら大変です。業務中どんどんデータを入力して、いざ検索しようとしたら「キーファイル（インデックス）を更新し始めてなかなか結果が戻ってこないよ」みたいなことになったら困りものです。
そこでサーバの暇な時間（データベースを使っていない、CPUの使用率の低い時間帯etc）を使って、キーファイルを強制的に更新してしまおうという訳です。
例えば、毎月月末にしか使わないようなキーファイルがあるとします。そのようなキーファイルは「実行時生成モード」にしておきます。
１カ月の間にデータの更新が何万件とあって、キーファイルに反映すべき情報がたくさんあるとします。（最近のサーバは速いから、たぶんこれだけあってもキーファイルの更新はすぐ終わるかもしれませんが・・・。）このままだと月末処理の最初の検索の前にキーファイルの更新が行われて、たぶんちょっと時間が掛かってしまいそうです。
そこで月末処理を行う前の日の夜間にバッチ処理で強制的にキーファイルの更新を行っておけば、実際に処理を行う時にはキーファイルは最新状態、従ってすぐに検索できる、というようになります。
- ７ キーファイルの再編成
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さて話は変わりますが、オープン系ＲＤＢの説明書のインデックスのところには
「データを大量に削除した場合はインデックスを再構築して適切な構造を保つようにしたほうが良いこともあります」
みたいなことが書かれていることがあります。
Ａ−ＶＸのキーファイルはインデックスと同じですので、同じ話になります。
Ａ−ＶＸの場合はキーファイルの再編成とか言われ、システムメニュー画面から「データ操作支援−Ｈ／再編成」か＃ＡＢＣ（あるいは＃ＭＩＸＧＮ）で行います。
- ８ 一時キー
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ＲＥＡＤ／ＷＲＩＴＥアクセスではキーを介してアクセスすることが多いです。ところが、あらかじめキーを用意しておかなければならないのは、いろいろ面倒です。
その上、複数索引順編成ファイルのレコードキーの数は最大で８個です。社員番号で検索もしたいし、社員の姓でも検索したい、ｘｘ歳からｘｘ歳までと年齢でも検索したい・・・と検索したい項目が９個以上あった場合はレコードキーが足りません。
そこでＲＤＢファイルではプログラム実行時に一時的に任意の列の項目をキーにすることができます。このキーを一時キーといいます。
一時キー生成機能により、キーを持たない項目に対する索引アクセスが可能となっています。ＣＯＢＯＬのプログラムで一時キーを使用するときはシステムサブルーチン：SYSKYRSVかＣＯＢＯＬ実行環境指定を使用します。システムサブルーチンを使って場合は、SYSKYRSVで一時キーの設定を行ってから、ＲＤＢファイルをオープン、その後ＲＥＡＤ／ＷＲＩＴＥを行います。ＣＯＢＯＬの制約上１プログラムで使用できる一時キーは８個までとなります。
ＳＭＡＲＴ�僑釘悗筍劭庁臓殖釘妝騰兇任皸貉�キーは使用できます。一時キーは実行時生成モードの属性になります。
スレッド毎に一時キーは管理されます。このためいったん一時キーを作成すると同一スレッドのプログラムで共用することができます。またスレッドが終了するときに一時キーも消滅します。
- ９ 合成キー
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Ａ−ＶＸ／ＲＤＢでは最大４個の項目からキーを作ることができ、これを合成キーといいます。合成キーを構成する項目は隣接している必要はありません。
複合主キーのようなものと考えてもいいですし、複数の列（項目）を組み合わせて作ったインデックスと考えてもいいです。
上の例では、「伝票日付」「伝票番号」「取引区分」の３つの項目で１つの合成キー、「営業所コード」「商品コード」で１つの合成キーを作っています。
