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NECオフコンのプリンタ

1 NECオフコンのプリンタ

オフコンは伝票発行機から発達したという説もあることからも分かる通り、オフコンは紙に印刷するために生まれてきました。
20年以上前からペーパーレスと言われ続けていますが、プリンタの付いていないオフコンなど見たことがありません。それほどオフコンとプリンタは切っても切れない関係です。

今は「プリンター」と最後を長音記号で延ばすことが多いですが、NECのマニュアルも「プリンタ」と書いてあるので、ここでは「プリンタ」と書きます。

NECのオフコンは1970年代から2010年代までの50年に渡って使われ続けたわけで、その間に誕生したプリンタも多種多様、オフコンに接続できるプリンタの種類も非常に多いです。プリンタ自身もその間に発展しており、新機能が付いたり、逆に古い規格が廃れてしまったり、ということもあったりします。

オフコンは過去の互換性を重要視していることもあり、昔のプリンタや規格も使えるようになっています。NECの公式のマニュアル「データ管理説明書」にも1970年代や1980年代に発売されたプリンタの説明がいまだに載っているほどです。

このようにNECのオフコンは昔のプリンタから今のプリンタまで使えるようになっている為、説明が非常に複雑です。このプリンタの場合はaだが別のプリンタの場合はb、同じプリンタでもオフコンとの接続方法によって説明が変わる、みたいなことはよくあります。あまりにも複雑なため、私自身NECオフコンのプリンタについて知っていることはごく少数です。ここでは知っている範囲で説明します。

2 プリンタの装置名と装置番号

NECのオフコンに付いているプリンタには、1台1台に「PRN001」「PRN012」とか「PRN100」といった装置名というものが付けられています。プリンタに印刷する時には、この装置名を使ってどのプリンタに印刷出力するのか指定します。

最初の3桁の英文字「PRN」の部分は「PRITER」のことだと思います。
後半の3桁の数字は装置番号と呼ばれています。オフコンに付けられている全てのプリンタに別々の番号が付けられています。重複していると印刷先を指定できないので、絶対に同じ番号は付けられていません。

3 プリンタの分類1(ANKプリンタと日本語プリンタ)

プリンタの分類分けはいくつもありますが、まずは今は気にする必要がほとんどないプリンタの分類分けを説明しておきます。忘れてもいいくらいです。

最初に説明したようにオフコンは50年の歴史があるので、その歴史的経緯もあって、オフコンに接続できるプリンタの属性としてANKプリンタと日本語プリンタという2種類のプリンタがあります。

日本語プリンタは文字通り日本語(漢字)が印刷できるプリンタで、ANKは日本語(漢字)が印刷できないプリンタです。ANKはAlphabet、Number、Katakanaの意味らしいです。

システム生成(SG)と呼ばれるオフコンの設定で、プリンタ1台1台にANKプリンタか日本語プリンタかを設定しています。”設定”なので、漢字が印刷できるプリンタをANKプリンタとして設定することもできます。
一方プログラム属性にもANKか日本語かの分類があります。プログラム属性が日本語モードのプログラムから、ANKプリンタに印刷しようとするとシステムでエラーになったりします。ANKプリンタやANKモードは昭和時代のプリンタを使いたいとか、その頃に作ったプログラムを実行したいといったときの為に従来互換で残っているだけです。今は日本語プリンタ、日本語モードで問題無しです。

なおプログラムのプログラム属性をANKモードから日本語モードに変えたいというのなら、ライブラリ保守ユーティリティ(#LBM)を使って簡単に属性を変更することができます。もちろん再コンパイル/リンクで日本語モードに変更することもできます。

4 プリンタの分類2(ステーション対応プリンタとシステムプリンタ)

こちらは比較的重要です。

NECのオフコンに接続するプリンタは、ステーション対応プリンタとシステムプリンタのうちのどちらかに設定します。

ステーション対応プリンタは端末に紐づいているプリンタで、システムプリンタはオフコン本体に紐づいているプリンタです。

プリンタの接続形式は大きく、オフコン本体からケーブルが出てプリンタに繋がっているタイプ端末側からケーブルが出てプリンタに繋がっているタイプの2種類に分けられます。(LANケーブルで繋がっているプリンタも、「本体とLANケーブルで繋がっているプリンタ」として設定しているか、「端末とLANケーブルで繋がっているプリンタ」として設定しているか、のどちらかです。)
あるいはプリンタのドライバが、オフコン本体にインストールされているのか、端末のパソコンにインストールされているのか、で分かれます。

端末に紐づいていて、プリンタのドライバが端末のパソコンにインストールされているのが、ステーション対応プリンタです。オフコン本体に紐づいていて、プリンタのドライバがオフコン本体にインストールされているのが、システムプリンタです。

システムプリンタ(大きなサイズのプリンタであることが多い)は、「PRN00」「PRN10」「PRN11」「PRN12」・・・のように一番上の桁が「0」になっています。

ステーション対応プリンタ(パソコン用のプリンタのような大きさ形のプリンタであることが多い。)は、「PRN00」「PRN01」「PRN02」・・・のように一番上の桁が「0」以外になっています。

端末にも装置名があり、「STN000」「STN001」・・・というようにプリンタと同じように名づけれらています。そして端末の装置名が「STN000」なら対応するプリンタの名前は「PRN100」、「STN001」なら「PRN101」というように「端末の装置名の番号+100」となるのが一般的です。
プリンタが何百台もあれば、たぶん「PRN200」だとか「PRN300」というような番号のプリンタがあるはずです。(私はそんな大規模なシステムは見たことがないので、確信は持てませんが・・・。)

5 ステーション対応プリンタ

上で、プリンタには名前が付いていて、印刷する時にはどのプリンタで印刷するか装置名を指定すると書きました。
端末もプリンタもいっぱいあると、「えーと、この端末から近くのプリンタに印刷したいんだけど、この端末に一番近いプリンタの名前ってなんだっけ?」「このプリンタの番号は何番だ?」ということになって、非常にめんどくさい。

そこで登場するのがステーション対応プリンタです。
ステーション対応プリンタの装置名は「PRN999」です。

システム構築時に「この端末で印刷する時にはこのプリンタ、あの端末から印刷する時にはあのプリンタ・・・」というように端末とプリンタの紐付けを行います。この紐付けされたプリンタがステーション対応プリンタです。
普通は端末に一番近いプリンタをその端末のステーション対応プリンタにします。

印刷時に「PRN999」と指定すれば、システムが自動で紐付けされているプリンタを探して印刷してくれます。(端末に一番近いプリンタを紐付けていれば、そのプリンタに印刷されることになります。)
ユーザが印刷する時にいちいちプリンタの番号を気にする必要はなく、印刷する時は呪文のように「PRN999」と入力するだけということになります。

端末とステーション対応プリンタの紐付けは、SGで設定するだけなので、わざと遠くのプリンタにしたり特定のプリンタだけを紐付けしたりということもできます。
端末に繋がっているプリンタをその端末のステーション対応プリンタにしなければならないということはありません。端末Aに繋がっているプリンタを端末Bのステーション対応プリンタに、端末Bに繋がっているプリンタを端末Aのステーション対応プリンタに、というような設定も可能です。

一般的には大量に印刷するような目的のプリンタはステーション対応プリンタにはしません。その都度少量印刷するような用途のプリンタを設定します。

ステーション対応プリンタにはステーション対応ANKプリンタとステーション対応日本語プリンタの2種類あります。

6 システムプリンタ

システムプリンタは、システムのメイン使用となるプリンタのことで、SGで決めることができます。

システムプリンタの利点は何かというと、これもいちいち番号まで入力する必要がないということです。プログラムやユーティリティで「PRN」(後ろの数字は入力しない)と入力するだけでシステムプリンタに印刷されます。

大規模なシステムでたくさんの端末やプリンタがあって、それらが分散して設置されているような場合は、出力量が多いような業務用のためにセンタに置いてある高速なプリンタをシステムプリンタにするのが一般的。バッチで一括大量印刷するためのプリンタに対して指定することが多い。

システムプリンタはセンタに設置されている大量印刷用途がメインのプリンタのため、プリンタビジーに対する対策がいくつか用意されています。
例えばシステムプリンタは1台だけではなく、複数のプリンタをシステムプリンタに指定することが可能です。この場合はシステムプリンタに印刷をすると、システムプリンタ群に指定したプリンタのうちのどれかから印刷されます。
(正確には、SGで設定した順に見ていき、空いているプリンタを使う) 今ではパソコンでも普通に使える機能になってしまいましたが、当然ビジースプール機能も用意されています。

上でサーバ本体から出ているケーブルに繋がっているプリンタ、端末から出ているケーブルに繋がっているプリンタというものを説明しましたが、「システムプリンタ=サーバ本体に繋がっているプリンタ」「ステーション対応プリンタ=端末に繋がっているプリンタ」ではありません。プリンタの繋がり方とプリンタの役割設定には何の関連もありません。例えば端末に繋がっているプリンタもシステムプリンタにできます。

7 スプール機能

プリンタに直接印刷データを送るのではなく、スプールと呼ばれるファイルにいったん格納してから印刷する方法があります。詳しくは前に説明済みです。

主にシステムを効率的に運用する為に使用するダイレクトスプールとプログラム間でプリンタの競合が発生した場合やプリンタが故障した場合などにプログラムを続行させる目的のビジースプールの2種類に分けられます。またスプールファイルにもシステムスプールとユーザスプールの2種類があります。

スプールファイルは、スプール管理プログラム(#SPOOL)やスプールプリントプログラム(#SWRIT)で管理、印刷を行います。

8 リモートプリンタ

リモートプリンタとは、あるオフコンから、別のオフコンのプリンタに印刷出力する機能です。A−VX/NETという機能の一部です。

リモートプリンタは800番台(「PRN801」「PRN802」・・・)です。2台以上のオフコンがある場合に、あるオフコンから別のオフコンに繋がっているプリンタを指定するときに使います。リモートプリンタは、例えば本社のオフコンと支社のオフコンがあって、この2台がネットワークで繋がっている場合、支社のオフコンの端末から本社にあるプリンタに印刷するというような感じで使うようなときに使用します。当然SGで設定されていないのに、いきなり「PRN800」とか指定してもエラーになるだけです。

リモートプリンタには、即時転送モードと一括転送モードという2種類の転送方法があります。即時転送モードはプログラムからの印字データを直接他のオフコンのスプールファイルに転送する方法です。一括転送モードはプログラムからの印字データを一度自分のオフコンのスプールファイルに出力して、スプール転送プログラム(#RWRIT)で他のオフコンのスプールファイルに転送する方法です。

説明おわり

と言うわけでいろいろと書きましたが、結局のところは(システムがきちんと設計されていれば)どのプリンタが何という装置名なのかは覚える必要は全くなく、印刷する時には「PRN」か「PRN999」のどちらかを指定すればいいということです。(即時伝票印刷など普段の少量印刷は近くの「PRN999」で印刷、バッチで大量印刷ならセンタにある「PRN」でという具合。)

これが毎回々々印刷するたびに「PRN173」だの「PRN012」だの最後の数字まで入力しなければならないようであれば、まだまだ再考の余地はあるということになります。
さらに一番の理想は、JSを組んで「PRN」「PRN999」といった印刷先の指定すらも入力させないようにすることです。