ファイルの属性、共用／排他、その他ファイル関係情報
- １ Ａ−ＶＸのファイルのセキュリティ
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ＷｉｎｄｏｗｓやＬｉｎｕｘにファイルのセキュリティがあるのと同じように、Ａ−ＶＸのファイルにもセキュリティという考え方があります。このセキュリティの仕組みは非常に簡単なのですが、ＷｉｎｄｏｗｓやＬｉｎｕｘとは異なっているので、そちらのＯＳから入った人は違いにとまどうことになると思います。
Ａ−ＶＸのセキュリティはＯＣＦという仕組みを利用しており、Ａ−ＶＸのファイルの機密性の確保や認証、アクセス制御といったものもＯＣＦという仕組みで行われています。
ＯＣＦ機能については別のところで説明していますので、そちらを参照していただくこととして、ここでは省略します。
- ２ ファイルの属性
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Ａ−ＶＸはファイル自体にいろいろな属性を付けることができます。主なものを表にしました。
属 性 概 要 ファイルエラー時の自動リカバリ方法の指定 ファイルに何らかの異常が生じた場合、ファイル復旧機能を用いて復旧させますが、その復旧方法を指定しておくことができる。 ファイルの満了日 指定した日付(ＹＹＭＭＤＤ形式)に満了するファイルとして定義さる。従ってこの日付より以前にファイルを誤って削除してしまう危険性がなくなる。“999999”を指定すると永久的なファイルとなり、指定を省略すると常に満了しているファイルとなる。 書き込み時、書き込み検査付き ファイルへのデータ出力時に、出力したデータが正しく書き込まれたかどうかをチェックする。 キーブロックの使用効率 キー部１ブロックの使用率のことで、５０％〜１００％（１０％単位）から選択できる。キー登録数が増加すると、この値にしたがってキー分割が発生する。 ファイルオーバーフロー時の自動領域拡張 データがオーバフローしたときに自動的にファイルのサイズを大きくする。 オーバーフローチェック（オーバーフロー前に警告メッセージで通知する） ファイルがある使用率を越えたときに警告メッセージを表示する。使用率を指定できる。 電源瞬断時の強制クローズ 電源瞬断時の処理方法として、”強制クローズする”か”強制クローズしない”か選択する。 ディスクキャッシュ対象指定 ディスクキャッシュを”対象とする”か”対象としない”か、”システムに依存する”か選択する。 一般的にはファイルの領域確保時に設定することができますが、幾つかの属性は後で変更することもできます。
これらの機能のうちいくつかは、簡易操作ユーティリティ（＃ＡＢＣ）やＳＭＡＲＴのファイルアロケートで設定できません。このようなものは新システム体系ユーティリティの「システム運用管理支援」→「ユーザファイルの登録」で行う必要があります。
フロッピーディスクの場合は、マルチボリュームと呼ばれる機能があります。フロッピーディスクは１枚が１．２メガバイト程度なので、それより大きなファイルは入りません。そこで複数のフロッピーディスクを使って１つのファイルを入れることができます。フロッピーディスク１枚で１つのボリュームです。複数のフロッピーディスクに１つのファイルを入れるので、そのファイルのことをマルチボリュームファイルといいます。
マルチボリュームファイルのときは、何枚目なのかという順序番号や最後のボリュームかどうかを示す最終ボリュームという属性があります。索引順編成ファイルや複数索引順編成ファイルなどはキーやデータファイルに対する属性がありますが、これはそれぞれの編成ファイルのところで説明します。
- ３ ファイル名
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ファイルはＷｉｎｄｏｗｓと同じようにファイル名を付けて区別します。
ファイルには、システムが使用目的をある程度決めているファイル（システムファイル）とユーザが自分で作るファイル（ユーザファイル）の２種類があります。
システムファイルは、「SYS@」という文字で始まるファイル名となっています。紛らわしくなるため、ユーザファイルには「SYS＠」で始まるファイル名は付けてはいけません。ユーザファイルのファイル名は最大１７文字です。
- ４ システムファイル
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ユーザファイルは、必要に応じて自由に作成したり削除したりできます。システムファイルも、作成したり、削除したりできることもできますが、勝手にそういうことをするとおそらくサーバが動かなくなったり、変な動きをしたりするようになると思います。
システムファイルは、「この名前のファイルは××という用途に使う」というようにそれぞれ用途が決まっています。
システムファイルの例
- SYS@LML
- SYS@CAT
- SYS@WK
- SYS@JSL
- SYS@MON
どのＡ−ＶＸのシステムでも、ＳＹＳ＠ＬＭＬはシステムのロードモジュールを入れるためのファイルであり、ＳＹＳ＠ＣＡＴはシステムのカタログ情報を入れるファイルです。「うちのシステムではＳＹＳ＠ＣＡＴはロードモジュールを入れるために使うよ」なんてことはできません。
逆にどんな名前のシステムファイルがどんな用途に使われているか知っていれば、初めて見るシステムでも必要なファイルや情報を取り出すことができるかもしれません。少なくともシステム分析の取っ掛かりを掴むことはできます。
システムファイルという特別なファイル編成があるというわけではありません。それぞれのシステムファイルは、後に説明する７種類のファイル編成のうちのどれかになります。例えばSYS＠LMLは待機区分編成ファイル、SYS＠WKは順編成ファイル、SYS＠JSLは待機結合編成ファイルとなります。
- ５ ファイルの共用／排他制御
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同時にいくつかのプログラムから同じファイルをアクセスしようとしたときに、それぞれのプログラムで矛盾が生じないように共用／排他制御を行うことができます。ファイルのオープン時に指定します。
ファイル共用／排他モード 説 明 排他モード
(EXCLUSIVE)オープンからクローズの間、ファイル排他制御が働き、他のプログラムからオープンすることができない。 保護モード
(PROTECTED)オープンからクローズの間、他のプログラムからはＩＮＰＵＴモードのオープンのみ許される。 共用モード
(SHARED)二つ以上のプログラムからそのファイルを共用する。レコード排他制御が働く。 - 排他モード
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プログラムＡがファイルａをオープンしている間は他のプログラムはファイルａをオープンできない。
- 保護モード
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プログラムＡがファイルａをオープンしている間は他のプログラムはファイルａのレコードの読み込みだけできる。
- 共用モード
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どのプログラムもファイルａをオープンして読み書きできる。ただし同じレコードを読み書きしようとしたときはレコード排他が働く。
同じファイルにアクセスするプログラムが全部排他モードだったり共用モードだったりすればわかりやすいのですが、排他モードのプログラムと保護モードのプログラムのようにモードが混在していると話が複雑になります。ＮＥＣのデータ管理説明書には組み合わせ別の大きな表が書いてあります。大きな表をそのまま引用するのも大変なので、細かい組み合わせはＮＥＣ公式の説明書の方を見てください。
- ６ レコードの排他制御
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あるプログラムＡで処理中のレコードを他のプログラムＢがアクセスに行くと、そのレコードに対する処理が終わるまで他のプログラムＢからのアクセスを待ち合わせます。これがレコードの排他制御です。
どのような場合にレコードの排他制御がかかるかがＮＥＣのデータ管理説明書に書いてあります。引用すると丸々１ページ引用することになるのでそれはやめます。
おおまかに説明するとレコードを読み込んでそれが成功した時にレコードがロックされ、次のレコード読み込みか書き込み／削除を行ったときクローズしたときにアンロックされます。細かい条件もあるのでそれはＮＥＣ公式の説明書の方を見てください。
このレコードの排他制御と先に説明したファイルの共用／排他の仕組みは、ＷｉｎｄｏｗｓやＬｉｎｕｘのファイル／レコードの制御方法と異なっています。このため、Ａ−ＶＸで作ったプログラム（例えばＣＯＢＯＬのプログラムとか）のロジックをＷｉｎｄｏｗｓやＬｉｎｕｘで動くプログラム（ＣＯＢＯＬとかＪａｖａとか）に何も考えずに持っていくと、同時に複数のプログラムを動かしてデッドロックを起こしたり、レコードを上書きしてしまう現象が起きてしまう可能性があります。ＣＯＢＯＬで作ったプログラムならそのままＡ−ＶＸからＷｉｎｄｏｗｓに持っていけるのではないかと思って持っていくと、レコードが上書きされて「ＣＯＢＯＬの仕様差異だ」という人がよくいますが、それはＣＯＢＯＬの仕様差異ではなく、Ａ−ＶＸとＷｉｎｄｏｗｓのファイル／レコードを管理する仕組みの差異（この場合はレコードの排他制御）です。
- ７ 仮クローズ機能
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データベースのコミットとよく似た機能をファイルに対して行うものです。
ファイルにはファイルラベルというものがあります。このファイルラベルにはファイルに今何レコード書き込まれているかとかどのくらいの使用率かといったような情報が入っています。
ファイルラベルの情報はレコードを更新するたびに更新するわけではなく、ファイルクローズ時にまとめて更新されます。レコードを更新するたびにファイルラベルも更新していては、ファイル処理が遅くなってしまうからです。
この方式の問題は、
何らかの障害でいきなりシステムが落ちてしまった場合、ファイルの実際の状態とファイルラベルの情報で差異が生じてしまいます。例えばファイルラベルには今何レコード書き込まれているかという情報が入っていますから、実際に１０レコード書き込んでいたとしても、ファイルラベルには５レコード書き込まれているという情報になっているかもしれません。そうなるとプログラムはファイルラベルの情報を見て有効なレコード数を数えるので、５レコード読み込んでＥＯＦと認識してしまいます。仮クローズを行うとそこでファイルラベルに情報を書き込むので実際のファイルの状態とファイルラベルの情報が一致するようになります。
仮クローズは利用者がプログラムにて指定します。この処理を１件のトランザクションデータ処理ごとに行えば、障害時には障害発生直前に完結したトランザクション処理までのデータは保証されることになります。
- ８ メモリファイル機能
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まずＮＥＣの説明書を引用します。
メモリファイル機能は、ユーザ空間に、出力バッファを動的に最適サイズで確保し、一回の物理入出力単位を大きくすることにより、全体としてみた時の、物理入出力回数を減らし、それにより、業務処理時間の短縮を図るものである。
［データ管理説明書（２００９年１１月版）−３．７ メモリファイル機能］より例えば、ファイル上のデータのソートを行うことを考えてみます。ソートを行うには、ファイルから１レコード毎読み込んでいく必要があります。全レコードを順番に読み込んで処理することになります。
メモリ上に６４キロバイトとか１メガバイトとかある程度の領域を確保して、そこに読み込めるだけ読み込んで、メモリ上で処理するという案もあります。ハードディスクから１レコードずつ読み込むよりもメモリ上から読み込む方が圧倒的に速いです。ソートはたいてい先頭から順番に読み込むので、ハードディスクから一括して読み込めば、あとはしばらくメモリ上からの読み込みで事足りるはずです。
ファイルサイズの制限内であれば、対象のプログラムを実行すると無条件にメモリファイルモードで動作します。ファイルサイズの制限外の場合は、通常モードになってしまうため、メモリファイルモードと比べると性能が低下します。
対象のプログラムは以下です。
- ＃ＳＯＲＴ（ソートユーティリティ）
- ＃ＴＥＤＩＴ（エディタ）
- ＣＯＢＯＬ（コンパイラ）
- ＣＢＬ８５（コンパイラ）
- ＃ＬＩＮＫ（リンカ）
- ＣＯＢＯＬ・ＣＢＬ８５で作ったプログラムのＳＯＲＴ実行時ルーチン
- ＳＭＡＲＴ�僑釘慂鷙霆餾鄒�／抽出（分類指定有）
- ＃ＤＤＭ
- ９ ファイル容量不足警告メッセージ出力機能
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まずＮＥＣの説明書を引用します。
一連の処理の流れの中でファイルに対するデータの追加を行った際、ファイルのオーバフローにより処理が中断されたり、ファイル同士の整合性が取れなくなったりすることがある。 〜中略〜
ファイル容量不足警告メッセージ出力機能は、そういった場合に備え、予めファイルオーバフローが発生しそうになった場合には、ファイルのオープンまたはクローズ時に警告メッセージをステーションに表示することで、オペレータに対しファイル容量不足に対する注意を促す。
［データ管理説明書（２００９年１１月版）−３．８ ファイル容量不足警告メッセージ出力機能］よりこの機能を使うには、ファイルのアロケート時（後で属性の変更もできます）に指定します。
＃ＡＬＬＯＣや＃ＡＢＣにはオプションが見つからなかったので、新ＨＩの領域登録機能のオプション画面を設定例として載せました。
