拡張システムコマンド
- 1 拡張システムコマンドとは
拡張システムコマンド(拡張コマンド)は、システムの稼動状態を表示したり、システムに特別の指示を与えたりするための機能です。
システムコマンドよりも特殊なコマンドや、より管理者向けのコマンドなど頻繁に使用しないコマンドを集めています。
- 2 実行方法
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アテンションコマンドの延長で実行することができます。アテンションコマンドは、[ATTN]キー(パソコンのキーだと[Pause]キー)を押すことで実行します。
アテンションコマンドを実行すると、以下のような画面になります。
拡張システムコマンドは、この画面で[PF10]キーを押します。
OCFありシステムの場合、ここでどのユーザ(オペレータ)で拡張システムコマンドを実行するかを聞いてきます。拡張システムコマンドは、システムに特別の指示を与えることができるため、ユーザによって実行可能なコマンドを制限する必要があるからです。
OCFなしの場合は、何も聞いてきません。
拡張システムコマンドの画面です。この画面に表示される項目は、どの端末で実行したか、誰が(どの権限で)拡張システムコマンドを実行したかによって変わります。
上の画面はシステムステーションで管理者が、拡張システムコマンドを実行した場合に表示される項目です。
下の画面は普通の端末で一般ユーザが、拡張システムコマンドを実行した場合です。
「他ステーションへの介入」や「シャットダウン」など重要なコマンドは、システムステーション以外や一般のユーザは実行できないようになっています。
実際にコマンドを実行するには、一覧の中から実行したいコマンドを番号で選択します。
- 3 拡張システムコマンドの一覧
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番号 コマンド 説 明 1 システム状態表示 システムの稼働状態を表示します。 2 他ステーションへの介入 他のワークステーションから別のステーションを強制終了させ、そのワークステーションを操作終了状態にします。 3 シャットダウン(システムシャットダウン) A−VXII以前はシステムをシャットダウンする働きがあります。A−VXIII以降はシステム運転を停止したり、再起動する働きがあります。 4 指定ジョブ強制終了 任意のステーション上から、指定ジョブを強制終了(業務放棄コマンドと同等の機能)する働きがあります。 5 ログ 各種ログ情報を採取したり、特定のログ情報をログファイルから順編成ファイルに抜き出したり、別のファイルに移したりする働きがあります。 6 自動電源制御 A−VXII以前で使用。A−VXIII以降は自動電源制御ユーティリティを使用しますので、このコマンドは使えません。 7 ディスクシステム ディスク状態表示、アレイディスク状態表示を行う働きがあります。 9 仮想ワークステーション 仮想ワークステーション(VWS)の起動、停止、状態表示を行う働きがあります。 10 リモートファイルアクセス リモートファイルアクセス機能の開始、停止、状態表示を行う働きがあります。 11 スプールコマンド起動 スプールコマンドプログラムを起動する働きがあります。 12 スプールライタ起動 スプールライタを起動する働きがあります。 13 ジョブ間同期、通信 ジョブ間同期・通信のチャネルの状態表示や解放などを行う働きがあります。 14 通信機能サービスコマンド起動 通信機能サービスコマンドプログラムを起動する働きがあります。 15 B4670デバイスサーバ A−VXII以前で表示されます。A−VXIII以降はありません。デバイスサーバの状態を表示します。 - 4 主要な拡張システムコマンドの説明
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簡単にそれぞれの拡張システムコマンドについて説明します。
- 4.1 システム状態表示コマンド
システムの稼働状態を表示します。見るだけなのでどの権限の人でも見ることができます。
番号 サブコマンド 説 明 1 ジョブ状態表示 実行中のジョブに関する情報を端末ごとに表示します。 2 ファイル状態表示 現在使用中のファイルの使用状況に関する情報を端末ごとに表示します。 3 装置状態表示 現在オフコンにつながっている装置の使用状態に関する情報を表示します。 4 総合状態表示 現在のシステムの状態の概要を表示します。起動可能な最大ジョブ数と現在実行中のジョブ数です。A−VX2以前はプロセッサの状態、種別なども表示していましたがA−VX3以降は表示されなくなりました。 5 キャッシュ状態表示 ディスクキャッシュの稼働状態を表示します。 6 **** A−VX3以降では未使用の項目。 7 ジャーナルファイル状態表示 ジャーナルファイルの状態を表示します。 8 DBE状態表示 DB−エンジンの稼働状態を表示します。 9 UPS状態表示 UPSの稼働状態を表示します。NECのオフコンと連動しているUPSの場合に表示されます。 拡張システムコマンドを入力すると、表示内容の選択画面になるので、見たい表示内容に対応する数字を入力します。あとは画面のメッセージに従って操作します。例えばジョブ状態表示あるいはファイル状態表示サブコマンドの場合は全部の端末の情報を見るか、特定のステーション番号(端末番号)を選択するかの選択画面になったります。
コマンドを終了する場合は0を選択します。自動更新はされないので、もし最新の情報を見たい場合はいったんサブコマンド選択画面に戻ってもう一度サブコマンドを選択しなければなりません。 サブコマンド選択画面に戻るにはリセットキーを押します。
ジョブ状態表示
ファイル状態表示
装置状態表示
総合状態表示
- 4.2 他ステーションへの介入
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端末でシステムコマンドの入力によるジョブの強制終了などができなくなった場合、他の端末からジョブを強制終了させ、その端末を操作終了状態にすることができます。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。 - 4.3 シャットダウンコマンド
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A−VXだけをシャットダウンしたり、サーバ(オフコン)をシャットダウン/再起動することができます。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。番号 サブコマンド 説 明 1 A−VXxxシャットダウン A−VX上で実行中のプログラムをすべて強制終了させ、A−VXのみをシャットダウンします。A−VXxxのxxの部分は3、4、01、02等A−VXの名称の数字部分が入ります。 2 サーバシャットダウン オフコンをシャットダウンします。A−VXをシャットダウンした後にWindowsのシャットダウンを行います。A−VXやWindows上で実行中のプログラムはすべて強制終了されます。
UPSが正常に使用できる場合は使用できません。UPSを利用してシャットダウンします。3 サーバ再起動 オフコンを再起動します。A−VXとWindowsをシャットダウンした後、オフコンを再起動しWindowsとA−VXを起動します。A−VXやWindows上で実行中のプログラムはすべて強制終了されます。 - 4.4 指定ジョブ強制終了コマンド
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任意の端末上からWS番号及びジョブ番号を指定してジョブを強制終了させることができます。強制終了とは業務放棄コマンドを入力したときと同じ動きをするものです。
管理者権限の人が実行できます。
- 4.5 ログコマンド
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各種ログ情報を採取したり、特定のログ情報をログファイルから順編成ファイルに抜き出したり、ログファイル内の全情報を別のファイルに移したりできます。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。サブコマンドは以下の5種類です。
番号 サブコマンド 説 明 1 ログ出力開始 ログファイルにログの出力を開始します。このコマンドを入力するとさらに出力するログの種類をジョブ活動記録かメッセージ記録かを選択することができます。 2 ログ出力停止 ログファイルにログの出力を停止します。 3 ログデータ複写 ログファイルを別のファイルに複写できます。このコマンドを入力すると次に入力元ファイルと出力先ファイルの指定を行います。 4 ログデータ抽出 ログファイルを別ファイルに抽出できます。このコマンドを入力すると次に入力元/出力先ファイルや抽出するログの種類などの指定を行います。 5 ログファイル初期化 ログファイルの初期化を行います。 詳しくはログ機能のところで説明しています。
- 4.6 ディスクシステム コマンド
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ディスク状態表示、アレイディスク状態表示を行います。
どの権限の人でも見ることができます。サブコマンドは以下の2種類です。
番号 サブコマンド 説 明 1 ディスク状態表示 接続されているすべてのディスク(MSDxxx)の状態を表示します。稼働中とか待機中とか。 2 アレイディスク状態表示 アレイディスクシステムの状態を表示します。 - 4.7 仮想ワークステーションコマンド
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仮想ワークステーション(VWS)の起動、停止、状態表示を行います。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。仮想ワークステーションについては別の個所で説明しています。簡単に言うと、あるオフコンの端末を別のオフコンの端末にする機能です。
サブコマンドは以下の4種類です。
番号 サブコマンド 説 明 1 VWS起動 仮想ワークステーションを使用できる状態にします。 2 VWS停止 仮想ワークステーション機能を使用不可能の状態にします。 3 VWS強制停止 仮想ワークステーション機能を強制的に使用不可の状態にします。 4 VWS状態表示 仮想ワークステーションの状態を表示します。 VWSを使用していない場合は全く使用する必要のないコマンドです。
- 4.8 リモートファイルアクセスコマンド
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リモートファイルアクセス(RFA)機能の開始、停止、状態表示を行います。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。リモートファイルアクセスについては別の個所で説明しています。簡単に言うと、あるオフコンのハードディスクを別のオフコンのハードディスクとして扱えるようにする機能です。
サブコマンドは以下の4種類です。
番号 サブコマンド 説 明 1 RFA起動 リモートファイルアクセス機能を使用できる状態にします。リモートファイルアクセス機能は通常システム起動時に自動的に起動されるので、停止コマンドや強制停止コマンドを実行した場合の再開に使用します。 2 RFA停止 リモートファイルアクセス機能を使用不可能の状態にします。 3 RFA強制停止 リモートファイルアクセス機能を強制的に使用不可の状態にします。 4 RFA状態表示 リモートファイルアクセスの状態を表示します。 RFAを使用していない場合は全く使用する必要のないコマンドです。
- 4.9 スプールコマンド起動コマンド
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スプールコマンドプログラム(#SPOOL)を起動します。
誰でも使用できます。RUNコマンドやメニューからスプールコマンドプログラムを起動することもできます。NECのマニュアルによると利点は「利用者はスプールコマンドプログラムのプログラム名を知らなくても、スプールコマンドを使用することができます。」とのことです。
- 4.10 スプールライタ起動コマンド
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スプールライタを起動します。
誰でも使用できます。このコマンドを入力するとプリンタの一覧が表示されるので、プリンタに対応する番号を入力するとそのプリンタのスプールライタを起動することができます。
- 4.10 ジョブ間同期・通信コマンド
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ジョブ間同期・通信管理(IJCSI)を利用しているシステムで、チャネルの状態表示や解放などを行うことができます。
管理者権限の人がシステムステーションの役割を持つ特別な端末でのみ実行できます。ジョブ間同期・通信管理(IJCSI)については別の場所で説明しています。そこで本コマンドについても簡単に説明しています。
番号 サブコマンド 説 明 1 IJCC状態表示 チャネルの使用状態に関する情報を表示します。 2 IJCC解放 指定したチャネルを解放します。 3 IJCC強制解放 指定したチャネルを強制解放します。 4 IJCC管理ファイル状態表示 ジョブ間同期、通信ファイル(SYS@IJC)の使用状態に関する情報を表示します。ジョブ間同期、通信ファイル(SYS@IJC)はIJCSIで使用するシステムファイルです。このファイルがエラーになったりするとIJCSIが使用できなくなったりします。 IJCSIを設定している場合のみ表示されます。IJCSIを使用していない場合は全く使用する必要のないコマンドです。
- 4.11 通信機能サービスコマンド起動コマンド
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通信機能サービスコマンドプログラムを起動することができます。
誰でも使用できます。通信機能サービスを使用していない場合は全く使用する必要のないコマンドです。
- 5 拡張システムコマンドのJS起動
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A−VX02 R2.0から拡張システムコマンドのJS起動ができるようになりました。
ログコマンドのファイル抽出やログファイルの複写のようなバッチ的に使いたいようなものも、いちいち手動でコマンドの操作をする必要がありました。それがJSに組み込むことで自動で実行することができるようになったのです。
/RUN #SYSCD,DEV=MSD,FIL=SYS@MON1;
コマンド番号_サブコマンド番号_パラメータ1_パラメータ2_パラメータ3_
/> ;ログコマンド以外にもサーバシャットダウンや保守作業の前に他ステーションへの介入コマンドで全端末のジョブを強制終了させるとか、状態表示を順番に表示させるジョブを作るとか、いろいろな使い方が考えられます。
- 6 ジョブビューワ
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拡張システムコマンドの一部は、ジョブビューワで実行することができます。ジョブビューワはWindowsで動くソフトで、GUIで操作できるのが特徴です。A−VX RDB/FILEアクセスキットに関する情報も表示できます。
表示情報をタブ区切りCSV形式でクリップボードに出力してExcelなどに渡すことができたり、複数のオフコンの情報を一括管理できたりもします。
PC/WSエミュレータとは関係なく独立したアプリケーションなので、PC/WSエミュレータが立ち上がっていなくても動作します。PC/WSエミュレータがインストールされていないパソコンでも動きます。主な機能は次の通りです。
- サーバ接続状態一覧
- ジョブ状態一覧
- ファイル状態一覧
- 装置状態一覧
- RDBサーバ接続情報一覧
- RDBサーバ接続履歴一覧
- ステーション介入
- ジョブ強制終了
- クリップボード出力(コピー)
拡張システムコマンドの一部しか使用できませんが、よく使うものはほぼ網羅されています。
ジョブ状態表示の画面です。
ジョブ状態表示からジョブ強制終了やステーション介入ができます。
ファイル状態表示の画面です。
装置状態表示の画面です。
私はA−VX RDB/FILEアクセスキットは持っていないので、画面は見せられませんが、こんな感じで選択することができます。