旧通産省によるコンピュータの定義とオフコンの関係
今の経済産業省でコンピュータの定義をしているかどうかよく知りませんが、電子協がオフィスコンピュータを定義していた時代は旧通産省でもコンピュータの定義をしていました。
私のサイトでは、オフコンの歴史やここのオフィスコンピュータの定義のところで、よく「小型コンピュータ」とか「超小型コンピュータ」と書いていますが、これは実際どのようなコンピュータでしょうか。
旧通産省がコンピュータを買い取り価格に分類しており、その中に「小型コンピュータ」、「超小型コンピュータ」が定義されています。
オフィスコンピュータが電子協によって定義されたのは1975年ですが、これ以前には旧通産省のコンピュータの分類がよく使われていました。(その後も使っています。)
その分類は以下の通りです。
分類 | 買い取り価格 | |
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大型 | A | 5億円以上 |
B | 2.5億円以上、5億円未満 | |
中型 | A | 1億円以上、2.5億円未満 |
B | 4千万円以上、1億円未満 | |
小型 | 1千万円以上、4千万円未満 | |
超小型 | 1千万円未満 |
この分類は1995年までは使用されています。(1990年頃は超小型も3百万円を境にABに分けています。今も使っているかは不明)
電子協の(1995年までの)コンピュータの定義は用途別と規模の2つで分類していますが、この旧通産省の分類は全くシステム規模のみで分類しています。
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さてここで注目していただきたいのは、超小型コンピュータの定義が買取価格が1千万円未満というところです。
1975年のオフィスコンピュータの定義も、価格条件として「標準構成で1000万円未満」となっていますから、1975年の定義の価格条件の項は、そのまま「超小型コンピュータと同じクラスの買い取り価格のコンピュータ」であると言い換えることができます。
その後オフィスコンピュータの定義の価格条件の部分は、1300万円未満→1500万円未満→3000万円未満→4000万円未満と変わっていきます。
つまり最初は超小型コンピュータの範囲のみがオフコンの範囲だったのが、次第に小型コンピュータの範囲まで広がっていっています。
1975年に小型コンピュータとして分類されていて、オフコンではなかったはずのコンピュータが、後年になるとオフコンの範疇に含まれてしまうといった現象が生まれます。
例えば、1977年に発表された富士通のコンピュータ:FACOM Vは、発表当時は小型コンピュータと分類されオフコンではありませんでした。ところが今ではオフコンと分類されているというおかしな現象がおきています。
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