「隠れオフコン」の時代(1) 前書き編

4:「隠れオフコンの時代」(3) 前史後編
EXCHANGE 09/26 20:24
* 前回は、前史前編として今から約25年くらい前までを中心にお話ししました。NECでいうとシステム100が登場する(1979年)以前です。この当時はすでにお話ししたとおり「三菱メルコム80シリーズ」「東芝TOSBAC1150、1350、システム15」「リコーRICOM8、ペンコールシリーズ」といった「旧御三家」の全盛時代でした。

そして、オフコン勃興期、上げ潮の時代でありました。



* この時期までのオフコンには共通した特徴があります。それは (1)OSと呼ばれる物があまり発達していなかったこと。モニタだとか、スーパバイザだとかいった簡単な監視ソフト管理ソフトが搭載されていました。

 (2)言語にアセンブラや独自の言語を搭載していた。データベースもありません。

 (3)ディスク容量はきわめて少なく1?5MBぐらいがザラでした。それも固定ディスクではなくカートリッジディスクという、積水のポリゴミ箱の「フタ」のような(と、聞くと古い方なら、きっとうなずくでしょう!)差し替え式のディスクでした。



* したがってあまり大規模なシステムを組むことはできず、どちらかというと、現場もしくは空調のない簡単なコンピュータルームで、ダイレクトにデータを入力して「即伝票」を発行し、請求書や元帳を作成する、そしてあらかじめ決められた切り口で「地区別」だの「担当者別」だのといった総計をとる、というスタイルでした。



* 処理能力がきわめて限られていただけに、ソフトと現場での業務の流れとがうまくフィットできないと、その後の転用も利かず「導入したものの全く動かずに埃をかぶった」状態になることが多々ありました。中小企業にとっては、時代に乗り遅れないために親族会議を開いて「一大決心」をもって導入に臨んだものです。



* 同時に、OSの知識が必要なく、システムもシンプルでしたので、普段の会社の仕事をやりながらソフトを組んだという「現場の素人プログラマ」が、各地で活躍した時代でもあります。

(実は私もそこから出発していつしかこの業界にハマってしまった者です)



* この時代の最後を飾る画期的な技術は、「漢字の使用」です。

  1977年、JBC(現在のJBCC)が日本で初めての「漢字の使えるコンピュータ」を発表します。

  そして1979年NECのS100。。



* 時代は「前史後編」に移っていきます。



* 後編の時代の共通の特徴は、

 (1)OSが次第に重要な役割を果たすようになってきた。

 (2)高級言語(主にCOBOL)さらに第4世代言語(各社独自のジェネレータ、「マスタ保守」「レポート作表」などに使われた)が中心になった。

 (3)オフコン各社が差別化を図るべく、「ペンタッチ」「タッチパネル」「ボタン式ブック」などの入力装置、 元帳が単票単位でプリントできる「OAプリンタ」、等々中小企業にアピールする各種装置を開発、搭載して競い合った。

 と、いった点です。

 

* 処理能力の向上、ハードウエアの信頼性の向上、多くのメーカの参入などによって「オフコン」は全盛期を迎えました。 「時代に乗り遅れるな!」 一般企業はオフコンの導入熱にうかされました。新聞にオフコンの広告が載らない日がないほどでした。オフコン導入成功企業はいわば「先進の企業」として尊敬と羨望の対象となりました。(これって、現在のEビジネスに似てません?)



* オフコンの普及にともなって本社に1台の時代は終わり、支店、営業所にもオフコンと複数の端末機を導入しそれらをオンラインで結んだり、取引先との間のバッチオンライン受発注など、システムがかなり高度化してきました。

 この時代は、コンピュータ間の接続性、データの互換性は同一メーカどうしでないと基本的にやりにくく、本社または、親会社があるメーカを採用すると、支店、関連会社も同じメーカを採用する、といったことが次第に多くなってきました。



* また、各オフコンメーカにとって、「OS」の開発費用がかなりの負担となってきました。 



* このような事情を背景に、IBM、富士通、NEC、といった大型汎用機メーカが次第にオフコン分野でも優位に立つようになってきました。

 「前史後編」の時代の終わり頃にはぼつぼつ「オフコン」分野から腰が引けてきたメーカも出始めました。



リコーは1986年、MXシリーズと銘打って、独自OSから離脱し、UNIXを搭載したオフコンを発表します。(もっともこのマシンはあまり安定動作せず、従来からのリコム?Iシリーズも併売されていましたが。。不安定オープン系コンピュータの先駆的実験か?)



* オリベッティなどもこの時期までには東芝のOEMを受ける形となっていました。(これが正確にいつ頃だったか覚えていませんが。。)



* そして1987年、NECが代表的オフコン「S3100シリーズ」を高らかに発表し、 1988年JBCCがIBM AS400を販売開始することにより、「メーカ」から脱落して「代理店」となって、「前史後編の時代」は幕を閉じます。



* これ以後は、IBM、富士通、NECの「新御三家」の時代に入ります。

 「新御三家」の時代は、「オフコン寡占化」の時代であり、「オフコン成熟」の時代であり、そして「オフコン黄昏の始まり」でもありました。 そしてそれは「隠れオフコンの時代」への前奏曲でありました。



(次回へ続く。。)



(注)JBCCについては続編の注釈をご覧ください。



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